「顕神の夢」展

某フォロワーさんが珍しく強くおすすめしておられた「顕神の夢」という企画展に行ってきました。

www.watv.ne.jp

全国の会場で一定期間展示をしてまわる企画のようで、今は栃木の足利美術館で展示をしています。期間のうちでは終盤にさしかかっていてタイミングによっては行けなかったかもしれないくらいですが、見れてよかったです。とても。

 

この企画展では、神をみてしまい作品を作らざるを得なくなってしまった人や向こう側を探求した人などの作品を集めています。モダニズムでは評価されない作品を霊性の尺度によって受け止めるといった書き方で企画コンセプトが説明されていました。なるほど画力であるとかメッセージ性であるとかの観点だけを重視すれば、これらより優れた作品はおそらく世にたくさんあるのだろうことは素人目にも何となく分かります。そのうえで、理由は分からないが兎にも角にも圧倒されてしまう作品があることは、それ以上に確かに理解できるところです。

 

感想を言いたい作品がいくつもあって、実際一緒に行った母とは展示を見終えてから色々話したりもしたのですが、一方であの場で感じたことは表に出さないでおきたいとも思っていたりと当たり前に矛盾を抱え込んでおり、自分が動揺させられているのを感じます。

具体的にいくつかの作品について何がどうよかったのか(うっかり)分析的に考えてみては、新たな気づきや発見があって何かが深まっていく感触がたまらない反面、なるべくならば理解不能な塊として生き生きと現前していてほしいという気持ちもかなり強く、そうなってしまっているのはやはり心撃たれたからなのだと思います。描いている人自身がなんでこんなもの描いているのか心当たりがないといった様子であったりするのだから、出来上がった作品はこの世の異物というべきか、本来的に困らされるべき代物なのかもしれません。

 

気になる作品はおそらく人それぞれに異なるもので、僕が深くとらわれた作品を別の誰かは平然と通り過ぎるなんてことは(その逆も)普通に起こることと思います。今日と数年後で見方がまるっきり変わるのもありそうなことです。

同じコンセプトのもとで多種多様な作品が集まるという意味では本屋にぶらっと立ち寄っていい感じの本に出会うみたいな経験に近いものがあります。美術館の展示も自分の感性を試す好機だなと思いつつ、しかし今回の企画に関しては鑑賞経験のパンチ力に凄まじいものがあり、人におすすめしてまわりたいレベルでした。

足利だと残り期間短めですが、興味があって行く余裕があるなら行った方がいいです。