北陸旅行1日目 いざ高岡

退職を機にゆっくりできる時間が生まれるため、余暇を存分に過ごすべく富山→石川→福井 の順にまわっていく旅程を前々から組んでいた。その1日目のレポ。

被災地付近へと旅行することへの葛藤は少なからずあったが、その辺は総集編として最後に書くことを予定している。旅先で執筆のためにまとまった時間をとりにくい状況ではちょっと書きにくかった。

 

(執筆現在、金沢へ移動した三日目の朝。コインランドリーが終わるのを待つ時間で近所のドトールにいる。被災地の近くまでやってきてモーニングをしていることに残酷さを感じないこともなく、「旅行で応援」というのが決して100%正しくはないだろうなと思う。なるべくお金は落としていくが、そのことを美談にはしたくないなという所存、ということだけ。ひとまず)

 

 

富山駅

富山駅構内(改札出たとこも構内って言うのだろうか)にある「とやマルシェ」という店の集まっているエリアの「とやま方舟」というお店で、氷見うどんと白えび天丼を食べた。同伴者と新幹線で相談したので半ば行き当たりばったりではあったが、氷見うどんも白えびも食べたいと思っていたらどちらも出してくれるお店を見つけ、即断だった。以下、ちょっとだけ食レポ

 

氷見うどん:異様にトゥルットゥルしている。すすったらそのままちゅるんとノドまで入っていきそうなほどの摩擦の無さなのだが、そのくせ一度の咀嚼では噛み切れないくらいのしっかりしたコシがある。あまりにも無抵抗に滑り込んできたうどんを噛むことにためらいを覚えるが、噛んだら噛んだでしっかりした食事になる。美味いが、それ以上に新鮮な体験という感じ。

 

白えび天丼:天丼でエビ天しかのっていないのは初めてのような気がする。エビ天と言っても棒状のデカいあれではない。ちりめんに入っている小さき生き物よりは数倍大きいくらいのサイズ感で、文字通りに白いのが外見的な特徴になる。唐揚げにしてるから白いのかな。調べると生体ではもう少し赤みがある。深海の生き物らしい。食感としてはエビらしいプリッとした感じと、歯で簡単に崩れるくらいの硬く脆い甲殻の食感とがある。両方ともがしっかり特徴としてあるような印象で、こういうエビは食べたことがあるようで意外とない。なるほど丼の上をソロで張れるくらいの美味さ。

 

ゲンゲ:見かけたので注文した。深海魚らしい。棒状の魚で、これも唐揚げでいただいた。同伴者がししゃもっぽいと言うのを聞きながら食べたためか、たしかにししゃもっぽい気がする。ただし、ししゃもは可食部の多くが内臓や骨格系なのに対し、ゲンゲは肉が多い。深海魚と言うとゲテモノ感をどこかで覚悟していたが美味いから食文化として残っているのだ。調べると身がふわふわしているという評価があり、その場のノリで頼んだから記憶は定かでないが、たしかにそうだった気がする。無知は感性を鈍らせることもある。

 

 

高岡なべ祭り

高岡駅へ移動した。ちょうどこの土日で高岡なべ祭りが開催されていた。500円で一人前の鍋が食べられ、種類がめちゃめちゃある。駅前で開かれていたが開催地は街中に点在していて、歩いた先でも何箇所か見かけた。

自分が食べたのは「かぶす汁」というもので、「かぶす」とはこの辺の漁師たちのあいだで分け前を意味する言葉らしい。その日によって違う魚が素材となっていて、あら汁みたいな雰囲気の味だった。そういうものだと割り切っていたから不満とかでは決してないのだが、魚の骨があまりにも多くて容赦なさにちょっとうけた。魚の風味が出ている汁がとても好きな人間なので、大満足。これでワンコインとは破格だ。

 

高岡散策

外は豪雪(関東比)で、この日は東京でも雪が降ったそうだが、僕の初雪は富山となった。降ってくる雪のひとかたまりがえらく大きく、それでいて軽やかに落下するものだから、降るというよりは降りてくるとでも言いたくなる降雪だった。

金屋町という古い景観を散策しに行ったのだが、如何せん雪がすごい。最初、地震があったから観光客がいないのかと思ったが、そもそも出歩くような天候ではなかった。金屋町もほとんど店が開いてなかったので歩いただけになった。しかしそれもまた一興である。駅方面に戻りながら途中で山町茶屋というところに入り、暖をとらせてもらった。暖かいの大事。古民家をそのまま使っているような店構えで趣があり、コーヒーも美味しかった。店主さんも親しみやすく注文のたびに話しかけてくださった。

 

 

高岡大仏

この辺の有名な大仏。奈良とかのイメージしかないので小さく感じるが、威厳はある。なにせ雪が積もっていても坐禅を組んでいるので。

この大仏さんはイケメン大仏として有名らしく、たしかに端正なお顔立ちをしておられる。桜蔭高校出身の知り合いが、修学旅行前に大仏についてやたらめったら調べる課題が出されたと話していたのを思い出した。当然のようにほとんどみんな興味はないのでいやいや調べていくのだが(それでも調べるのはさすが桜蔭だ)、その過程で不思議と大仏がかわいく見えてくるのだという。あの大仏が好きとか、こっちのがいいとかの話題になるそうで、その思い出トークを側から聞いててもちょっと楽しそうだった。

高岡大仏もイケメンと聞いていたからか親しみを込めて参拝できた。知識は感性を育むこともある。

 

 

旅館

あとは旅館に到着したら暖房の前に居座って気持ちと体を落ち着ける。夕食は地元のものや海の幸を堪能できてとてもよいでございました。これもまた木造の古い建物で、しんしんと冷えるけれどもストーブの暖かさがありがたい宿だった。雪で浸水した靴も、許可を得てストーブの前で乾燥させてもらえた。すぐさま乾いて翌日への心配も減って、大変ありがたい。

食事の時間もあって夕方くらいに着いたため、時間にはゆとりがあり、ゆっくりと冷えと疲れから回復するにはおあつらえ向きな雰囲気の宿でとても良好であった。